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keit@ blog

仕神けいたの執筆ホニャラカ報告書。

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蒼の魔法士:裏プロローグ

新たに連載を始めました。
タイトルは「蒼の魔法士」です。

なんか、一気に10話分を投稿しましたorz
そんだけ溜まっておきながらちょこちょこ更新ができないヤツです。

そして、「小説家になろう」では故あって掲載をしていないのですが、この物語のプロローグというかそれにあたるネタがここにあり……。

特に修正もなしに走り書きの如くキーボード打ちましたので文面がおかしいのはご愛嬌ということで。

それでは、蒼の魔法士裏プロローグ「主人公、名物を食い損ねる」(タイトル意味不明)をどぞー。

……あ、裏プロローグについてのツッコミはこの記事のコメントやトラックバックをご利用くださいまし。
 赤暦七〇九五年。大阪。
 日本の貿易が非常に盛んになり、その中心といわれるほどに発展したこの場所は、最新の物資や文化、技術を誇り、そして日本の隅々に浸透させていた。
 基を辿れば、世界各国との貿易を栄えさせた者が大阪を拠点にしたのが最初だった。最新の物資や文化や技術は、国外から一度大阪に集まり、それゆえにどこよりも早く取り入れられるというわけだ。
 そんな大阪、某都市にあるホテル「カカゥ」。
 ホテルのコンセプトは『和』であり、外装も瓦葺き屋根、木造建築と風情を漂わせている。そして、中庭では池を造り鯉を放ち、専属庭師により剪定された木々が堂々と佇んでいる。部屋には、各々生け花や掛け軸などの趣を置き、旅の疲れを癒す緑茶と菓子が用意されている。二百ある客室全てに、である。さらに、三十畳以上ある豪華な造りの和室は三室のみ存在し、ニホン国でも五本の指に入るほどの超高級ホテルだ。
 その超有名ホテルの隣、潰れかけの名もなき民宿の一室で、
「無理だな」
 即答だった。
「…………なにも即答しなくても……」
 ヒスイに相談をもちかけたユウだが、瞬時の応答に突っ込みのタイミングを失った。部屋の隙間風も冷たい。
「アヤカシを呼び寄せる体質なんてなぁ生まれもって宿ったモノだから、治す治さないの問題じゃあない」
 囲炉裏のそばに寝そべって、ヒスイはポテトチップを頬張った。
 その様子を見てからか、ユウも諦めるようなため息を漏らした。
「そっか……兄ちゃんの死ぬくらいひどい修行受けても治らないんじゃ、確かにしょうがないのかも……」
「一度死ぬか?」
 ヒスイが起き上がり、懐から「1000t」と書かれたハンマーを見せた。
 そんなものがどうしてそこに入っているかは、ここでは問題にならない。
「うぇ!? ちょ……冗談言った……うわわわ~!」
「鈍器でも当たり所がよけりゃ人は十分死に至る。安心しろ、一撃で終わらせてやるから」
「だ、だから冗談だって……!」
 ユウはヒスイのいる囲炉裏の反対側に逃げるが、すぐ背後の壁に追い込まれた。
 影が迫る。
「ちょ、兄ちゃ……ま待って待って!」
 さらに迫る。
「ぎゃぁぁああああああああああ!」
「――そうか」
 金槌を振り下ろそうとした時、ヒスイは思い出したように顔をあげる。
「ユウ、お前ミサギのとこに行ってこい」
「…………………………へ?」
 残っていたポテトチップを全て食べ、袋を再生箱に投げ入れた。囲炉裏に炭がいくつか燃えているのを見たヒスイは、躊躇せず炭に手を伸ばし、真っ赤に焼けた一つを取り上げた。すると、それはみるみるうちに彼の手の中で小さくなり、ポンッと音をたててペンに変わった。もう一方、掴み取った一握りの灰は、白無地に赤い縁取りの入ったレターペーパーになった。
「死ぬ気で何とかするんならあいつのとこに行った方がいい」
「そ、そこに行けばこの能力はなくなるんだね!?」
「ミサギの居場所をメモしといてやる。それから紹介状渡すからミサギに読ませろ」
 走り書きをしながら、紙とペンから手を離す。ペンはそのまま紙の上を走り続け、ヒスイは人差し指でスッと宙を横一文字に切る仕種をすると、そこにジップが現れた。
「旅費は自分で稼げるだろ? 身分証明は失くすなよ、あとめんどいから。それから……あとなにがいるっけ?
 彼がそこから取り出し、ユウが受け取ったのは、旅行用の小さなリュック、いくつかのお菓子、身分証明カード、そしてグルメマップだった。
「これだけあればなんとかなるか」
 書き終えたメモと紹介状をユウに押し付けて、ヒスイはユウを部屋の外へ追い出した。
「そいじゃ行ってこい。ミサギの言うことはちゃんと聞けよ」
「行ってこい……って……」
 のん気に手を振っているヒスイを見て、ユウは彼の返答を予想しながら尋ねた。
「あ、の……兄ちゃんは来ないの?」
「オレはこれから食い倒れ行かなきゃいけないから。あ、そのグルメマップ貸せ。それオレが使うやつ」
 ヒスイはユウからグルメマップだけをひったくった。
――予想通り
 ユウは呆れやら諦めやらでため息が無意識のうちに出てしまった。
 そもそもヒスイは、食の道楽のために旅を続けているのだ。その道中に偶然ユウも拾われたのだ。拾われたことを感謝するならば、ユウは一人でミサギのいる場所までいかなければならない。
 自分も少しだけでも名物料理が食べたいなとしぶしぶ民宿をあとにした。

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