思いついた話を御伽噺風味で。-3- チラシの裏メモ 2007年11月04日 この話……最初に書いたの1年も前になってるorzすっかりあげ忘れてた(汗。「このペンダントを?」 兄のしているペンダントは、とても珍しい石でできていて、不思議な力を持っていることを鳥は教えてくれました。「鳥とお話ができるなんていいなあ」 妹はペンダントを欲しがりましたが、兄は大事そうに服の中へしまい込んでしまいました。「だめだよ。これはとても大切なものなんだよ。それに、これで魔女を倒してと木が言っていたんだから、きっと魔女よりも強い力があるんだ。おまえには危なすぎるよ」「つまんないー」 ペンダントができなかった妹は、頬を膨らませてそっぽを向いてしまいました。 そんな妹の肩に鳥がとまり、美しい声で唄います。「つよい つよい 魔女はつよい西の国のさらに西 陽の落つる果てに魔女がいる天を仰げば空は鳴き大地をなでればたちまち裂ける魔女はつよい とてもつよいだからとても恐れてる 神の涙を恐れてる神の涙はしずくとなりて 魔女を消し去る力となった」 兄弟は、しばらくその唄に聞き惚れました。そして、唄いながら鳥はどこかへと飛び去っていきました。「そうそう、小川に沿って下った先で東の国の馬がいたよ。きっと王子の馬だよ。美しい毛並みの立派な馬だ」 去り際の言葉を聞いて、兄は妹と馬を探しに行きました。「鳥さん、お唄上手だったね」 妹が鳥の鳴きまねをして唄います。「そうだね」 兄は、その姿を見て、妹をどこかの村に預けようと考えました。 鳥が唄ったことが本当なら、魔女を倒しにいくのはとても危険なことです。 妹を危険な目に遭わせたくない、ケガをさせたくない、兄の思いはそれだけです。「お父さんもお母さんも、ボクが魔女をやっつけてくるから、おまえはさっきの村で待っているんだ」 しかし、妹は首を横に振って兄にしがみつきます。「お兄ちゃんと一緒がいい!」 何度言っても、妹は兄の言うことをききません。 兄妹が言い合いながら進んでいると、小川の水を飲む一頭の馬を見つけました。 美しい黄金色の毛並みに覆われた体。首から胸にかけてふさふさとした白い毛が気持ちよさそうな馬です。 頭に生えている二本の大きな角が東の国の馬だということをあらわしています。 兄はそんなことは知りませんでしたが、一目見て王子の馬だとわかりました。 馬も兄妹に気づき、じいっと見ています。「お兄ちゃん……怖いよ。あの大きな角は、きっと私の体を突き刺すものだよ」 妹は怖がって兄の後ろに隠れます。兄はそんな妹をかばいながらも、好奇心から一歩ずつ馬に近づいていました。 馬が首を激しく振るいます。 兄妹は、驚いて思わずしりもちをついてしまいました。 すると、馬は急に兄に近づいてきました。 妹は、恐怖で指一本動かせずに、ただじっとしていました。 馬は、妹をかばう兄の目の前にくると、顔を近づけ、兄の胸の辺りをすりつけてきます。 その様子に、兄はペンダントのことを思い出しました。「もしかして、これを探しているのか?」 首にかけたペンダントを馬に見せると、馬は嬉しそうにペンダントに顔をすりつけました。「間違いない。これは私の主のペンダント。懐かしい。魔女から逃げる途中、魔女の放った光の中で主と私は離れ離れになってしまった。どうして君が持っているのだ?」 馬は、兄を見つめました。「やっぱり、君は東の国の王子が乗っていた馬なんだね」 それに応えるように馬はいななきます。「君のご主人は、魔女に木にされてしまったんだ。ボクらはそれを助けるため、このペンダントを借りて魔女を倒しに行くところなんだ」「そういうことなら、私の足が役に立つ。魔女を倒し、主を助けるために私も力を貸そう」 馬は、兄妹の前に座り、背に乗れと言います。こわごわと近づく妹に、馬は優しく頬をすりよせました。すると、妹の警戒心は一気に解け、無邪気に馬の背へよじ登りました。 兄は、妹を村に預けるのをあきらめ、一緒に行くことを決意しました。「いいか、ボクが絶対守るから、ボクから離れちゃだめだぞ」「うん!」 馬の足が速いとはいえ、西の果てへと向かう旅は簡単なものではありませんでした。 村の近くと違って、外の世界は木一本ない荒野が続き、風が嗅ぎなれぬ臭いをどこからか運び続けています。 生きるものの世界ではないことがすぐにわかりました。 陽の高いときに馬に乗って進み、夜になると身を寄せ合って眠る日が何日も何日も続きました。...to be continued思いついた話を御伽噺風味で。思いついた話を御伽噺風味で。-2- ◆仕神けいたの活動報告 FANBOXとクリエイティアで活動報告をしています。 FANBOXではVroid系・イラストを、クリエイティアでは、執筆関連の報告や仕神の執筆環境などの報告をします。 どちらも会員限定の情報がありますので、ご興味ありましたらどうぞ! PR